知らない世界への扉を開けた少女に待っている未知の世界
扉を開けてしまった少女を愛す少年の悲しい現実
知らない世界
「ルキア!」
ゆっくりと瞼を開くと眩しい光が少女、ルキアに向かって射してきて、オレンジ色の頭をした少年、一護が目を開けたルキアを見下ろしていた。
目を開けたルキアは少しぼーっとして意識が少しだけ飛んでいるような気がしながら見下ろしてくる一護を見ながら体をゆっくり起こした。
「おい、大丈夫なのかよ!」
ゆっくりと体を起こすルキアに対して一護は驚いて体を起こすルキアに心配そうな声で話し掛けた。
ルキアは話し掛けてきた一護の方を向いて一護の顔を見るとゆっくり首を傾げて一護の顔に疑問をいだいているような表情をした。
「…貴様は…誰だ…?」
ルキアが不思議そうに一護を見ながら言うと一護はその一言を聞いて息をのんだ。
「…な、なにいってんだよルキア…」
冗談だろ・・・と思いながらルキアに言うがルキアはますます不思議そうに一護の顔を見てきた。
「ル…キア…?誰だ…?それは…私の事…なのか…?」
一護を見てルキアはこの少年は何の事を言っておるのだ?と、思いながら一護の言っている事を理解してなさそうな顔をしていた。
ルキアの様子を見ていつまで俺をからかってんだよと、一護の心の底から怒りが込み上がってきた。
「おい!冗談もういいかげんにしやがれ!!」
急に一護が怒鳴るとルキアは急に怒鳴られて私は何も悪い事をしてはおらぬぞと思いながら不機嫌そうに少し怒った表情をしながら一護を見た。
「冗談ではない…貴様は誰だ?ルキアとは私の事か?」
「…嘘だろ…」
ルキアの様子を見て一護はとても驚きながら“記憶喪失”というその四文字の言葉が頭に浮かんだ。
まさか、彼女がこんな状態になるとは一護にとって思ってもいなかったことだった。
いつも明るく、元気で、口調は悪いが悲しんでいると優しく手を差し伸べてくれた彼女が記憶喪失となる事は一護にとってとてもショックな事だった。
「朽木さん、目が覚めましたか?」
一護が大きなショックを受けていると2人がいる部屋にこの店の主、浦原喜助が入ってきた。
浦原が部屋の中に入ってくると一護は後ろを振り向いて浦原の名前を呟いた暗い表情をしながら浦原を見上げていた。
記憶喪失となったルキアは浦原を見て首を傾げながら浦原を見つめていた。
「…貴様は…誰だ?」
ルキアが浦原に尋ねると何も知らない浦原は目を丸くして疑問に思っているルキアを見下ろした。
「…アタシの事、わからないのですか?」
「私は貴様など知らぬ」
腕を組み浦原の質問に即答したルキアは質問してきた浦原を睨んだ様子で見上げていた。
「…記憶喪失のようですね…」
浦原から出るその四文字が一護の胸に突き刺さった。
態度は普段と変わらなかったが、ルキアの様子などを見て浦原はそう確信ながら一護の隣に腰をおろした。
「…俺が…もっと強ければ…こんな事に…」
とても悔しそうな顔をしながら一護は俯いて膝の上に置いている拳を強く握っていた。
「黒崎さん…」
俯いている一護に浦原はかける言葉が見つからず一緒になって暗い表情をしていた。
暗く重い空気が流れるかと思ったが急に一護の頭に撫でられて驚いた一護が顔を上げると、目の前には布団から身を乗り出したルキアがあの雨の日ように頭を優しく撫でてきた。
一護が顔を上げるとルキアは天使のような笑顔でニコッと笑っていて、その笑顔は一護が背負った事を洗い流してくれるような気がした。
「貴様のせいではない。多分、私が無理をした所為でこのような事になったと思うぞ…すまぬ…」
そう言いながらルキアが暗い表情をして俯くと、記憶は戻っていねぇのに此処まで言うとはなと、思いながら一護はフッと笑った。
「お前は何も悪ねーよ、俺がお前を守りきれなかった所為だ…」
ルキアは顔を上げて一護の顔を見るとおあいこだなと、思いながら苦笑していた。
「貴様…名を何と言う」
「俺は…黒崎一護だ」
「一護というのか…良い名だな」
ニコッと笑いながらルキアが言うとあの時、ルキアとの会話の中でルキアが言った言葉が一護の頭を横切った。
『一護の名前はとても良い名だな…』
記憶喪失になる前、自分達の名前の事でいろいろ話をしていた時にも言われた事がり一護にとってあの時の関係に戻ったような気がして嬉しかった。
「…サンキュ…」
顔を少し赤くしながら一護は嬉しく思いながら照れくさそうに言った。
「ひとまず、少しずつでもいいから記憶を取り戻してもらいましょう…あっ、自己紹介はまだでしたね。アタシは浦原喜助と申します」
「浦原…喜助…?」
変な名前だなと、ルキアは思いながら首を横に傾げていた。
「はい、ついでにあなたの名前も一応教えておきましょう。あなたの名前は朽木ルキアです」
「朽木…ルキア…」
自分の名前を口に出した。―それが…私の本当の名前…。
ルキアは少し真剣そうな顔をしながら何か考えていた。
「何か思い当たることはあったか?」
真剣な顔をしているルキアを見て記憶が戻るかもしれないと期待しながら一護が聞くとルキアは暗い表情をして首を横に振った。
「いや…何も…」
「そうか…」
―…そうだよな…そんなに早く…記憶を取り戻す事は出来ねぇよな…。残念に思いながら視線を下に向けた一護は少し暗い表情をした。
一護が暗い表情になると悲しませてしまったと、胸が痛くなったような気がながら思ったルキアは俯いた。
「すまぬ…私も自分の記憶を取り戻したいのだが何も思い出せぬのだ…」
ルキアが俯くと一護は視線を上げて暗い表情をしているルキアを見て俺はまたルキアを悲しませたな・・・と、思いながら一護はルキアの頭に手を乗せた。
俯いていると暖かくて優しく大きな手が自分の頭の上に乗った感覚が伝わってきてルキアは顔を上げて一護を見た。
「いいんだ、これから時間をかけてゆっくり思い出せば…」
一護が苦笑しているとルキアは目を丸くさせながらとても驚いた。
…知っている…この感覚…私は…知っている…
脅えている私の心を包み込んでくれる優しさ…
不安に思う私に安心感をもたらす暖かさ…
落ち込んでいる私を大丈夫だ…と、言っているように見つめてくるその眼差し…
…私は…知っている…
そう思っていると一護の大きな手がルキアの心に暖かくて優しく安心感にさせてくれる眩しい日差しが照らされた気がした。
「ああ…!」
安心感を持ったルキアは心の中でありがとうと、一護に感謝しながら思いながらニコッと笑った。
「朽木さん、しばらくの間、うちに泊まっていって下さい」
「すまぬ…お言葉に甘えて居候させてもらう…」
「じゃあ、俺…家に帰るから…」
ルキアの頭から乗せていた手を話しながら一護は立ち上がり見上げてくるルキアを見下ろした。
「はい、朽木さんのことはアタシ達に任せて下さい」
「じゃあな、ルキア。また明日も来るからな」
「ああ…じゃあな…一護」
穏やかな顔でルキアは微笑みながら廊下へと歩いていく一護を見送った。
部屋を出る前、一護は後ろを振り向きルキアの顔を見ると記憶喪失になる前のルキアの微笑みが記憶喪失になったルキアの微笑みと重なって見えた。
ルキアの微笑みを見て一護はルキアの記憶をぜってぇ取り戻してやると、心の中でにそう決めながら浦原商店を後にした。
To be continued