世界一の実 






傷付いた藤宮を庇いながら4人は海菜の家に着いた。


海菜の家は前にも来た事がある詩緒だが、大きな敷地内にまた驚いた。


4
人は裏の玄関から入り、近くの和室で藤宮の体を休ませた。


改めて藤宮の傷を見ると、最後、晃と海菜と一緒に次々と男子生徒達を倒したことが信じられないぐらい酷かった。



 

 

「待ってて、救急箱取ってくるから」


「いってらっしゃーい」


「あんたも来るのよ、晃」


 

 

そう言って、海菜は晃を引きずって和室を出て行った。


部屋を出ていく際、海菜は振り返って小さく笑って、小さく口を動かした。


海菜が何を言ったのか、詩緒はすぐに理解した。

 


詩緒、頑張って。


 

今まで反対していた海菜が応援してくれることに詩緒は喜び、感謝した。


藤宮と2人っきりになると、詩緒の心臓が加速していく。


いつも2人っきりになることがあるが、今凄く緊張していた。


詩緒は藤宮に初めて自分から話し掛けた日のことを思い出した。


あの時と今の気持ちは同じだった。


いや、あの時よりももっと緊張しているかもしれない。


今から藤宮に自分の気持ちを打ち明けようとしているからだ。


頭が真っ白になっていく。


言おうか言わないか迷った。


でも、今しかない。


今言わなきゃ後悔するような気がした。


詩緒は決意をして、藤宮と向き合う。

 





「…藤宮くん…助けに来てくれて本当にありがとう…」


「それは「あのね!あたし…藤宮くんに言いたいことがあるの…」


「俺も…亜厂に言いたいことがある」


「えっ?」





 

予想外の言葉に詩緒は戸惑う。


詩緒が黙って藤宮を見つめると、藤宮は真っ直ぐ詩緒のことを見つめ返した。


頬がリンゴのようにほんのりと赤くなっていた。


今まで詩緒が見たことがない藤宮の表情。


顔の内側がだんだん熱くなっていくような気がした。


 











 

「…好きだ。亜厂と初めて会ったときから…ずっと」

 

 








 

恥ずかしかった。


告白されるのはこんなにも恥ずかしいものなのか。


顔を背けてしまいたい。


けど、詩緒は藤宮から顔も目も動かさない。


 




 

「あ、あたしも、藤宮くんに会ったときから…ずっと好きだった…」

 

 





ずっと、伝えたことがやっと伝わった。


片思いだと思っていた。


でも、片想いではなかった。


2人の想いはすでに一致していた。


信じられなかった。


これは夢なのかと疑ってしまうほどに。


詩緒は思わず、自分の頬を抓った。


痛みを感じて現実だと改めて実感する。



 

 

「だ、大丈夫か?」



 

 

いきなり詩緒が頬を抓ったから、藤宮は驚いて抓った頬を優しく撫でた。


藤宮の手は暖かく、しっかりとしていて、優しかった。


嬉しさのあまり、今度は詩緒の目から涙が流れ出てきた。


 


「あ、亜厂!?」


「大丈夫…嬉しすぎて…涙が出ちゃった」


「…バカ」

 

 



そう言って、藤宮は詩緒の頭を優しく撫でた。


それはくすぐったかったけど、それは気持ちのいいものだった。


詩緒は涙を流しながら、嬉しそうに笑った。


藤宮もつられて、笑う。


初めての藤宮の笑顔だった。


うまく表現しにくいが、今まで見てきたいろんな人の笑顔の中で最高の笑顔だと詩緒は思えた。


 


 

 

 

 

世界一のおいしい実


私だけの特別な実


その実はどんな和菓子や洋菓子よりも甘く


どんな果物より甘酸っぱく


どんなパンより柔らかい


世界でただ一つのおいしい実


一口だけなのにそれだけでお腹いっぱいになりそうな満足感


食べれば食べる程その虜となってしまう


この世のものだと思えないぐらいのおいしさを持った


表現出来ないぐらい程の好い甘さを持った


最高の恋という名の実


それを食べたあたし達は今幸せです。






fin 



 

 

あとがき

書いていて思ったこと。

いいなぁ、こういうの(笑)

告白したことありますけど、こんなこと一度もありません(^^;

てか…告白していないのにいつの間にか付き合っていたこともあったし…(--;)

…どこでどうお互いが理解したのかよくわからないという変に残念なことでした(笑) 

まぁ、この2人が幸せになればいいです♪

…リンチシーンで、もうちょっと言葉がほしかったなと反省しました。


ここまで読んで下さりありがとうございました。

(2010/01/30 完結)


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