雪だるま
雪が降ったあと尸魂界の朝・・・
昨日の雪を乗せた黒い雲はどこへ行ったのか、尸魂界の空は白い雲が点々とあるぐらいの青空だった。
昨日、雪が降った所為で流魂街や瀞霊廷の家々の屋根には真っ白い雪が降り積もっていた。
死神達は外に出て白い雪におおわれた家の前を雪掻きをするためのスコップなどを使って端にどかす作業を所々で始めていた。
貴族の家々ではその家の家臣が門から玄関までの道に積もった雪を同じように端にどかしていた。
そんな中、ルキアは朽木家の庭に出てしゃがみこみ氷のように冷たくとても綺麗な雪に触れていた。
太陽の光の所為なのか雪の輝きがまして白くキラキラと宝石のように光っているように見えた。
ルキアは白く光って見える雪を手で持てるぐらい雪をつかみ、手に乗った雪を両手で丸めていき雪だまを1つ作った。
雪だまが1つ出来るとその雪だまを雪の上に置きもう1つ雪だまを作ろうと手で持てるぐらいの雪をつかみ両手で雪を丸めていった。
雪だまが2つ出来るとルキアは片方の雪だまを雪の上に転がして大きくしようとした。
ルキアの手は雪に直接触れている所為か赤くなっており時々、雪だまを転がすのをやめて手を擦り合わせて温めてまた雪だまを転がし始める。
大きさの違う雪だまが出来ると小さい雪だまを大きい雪だまの上にそっと乗せて雪だるまにした。
雪だるまが出来るとルキアはクスッと笑って雪だるまを穏やかな表情で見つめていた。
「何をしているのだ、ルキア・・・」
作った雪だるまを見つめているルキアの後ろから声が聞こえて後ろを振り向くとたまたま廊下を歩いていた白哉が立っていた。
「兄様!」
振り向いたルキアは白哉に気付くとその場に立ち上がり白哉の方に体を向けニコッと笑った。
「今、雪だるまを作っていたところです」
ルキアが答えると白哉は少し驚いた表情をしてルキアを見下ろした。
何か悪い事をしてしまったのか・・・とルキアは白哉が驚いたことに不安を感じた。
「・・・そこは冷える・・・早く中に入り、体を温めろ」
「はい、わかりました」
白哉はルキアにそう告げると近くにあった部屋の中へと入って行った。
ルキアは白哉の後を追ってぞうりを脱いで廊下に上がり白哉が入って行った部屋の中に入って行った。
部屋の中は外と比べ暖かく部屋の真中には墨が赤く光っている火鉢があり、火鉢の近くにはテーブルがありその両側には座布団がしかれていた。
先に部屋の中に入った白哉は座布団の上に座っており少し遅れて部屋へと入って行ったルキアは白哉の向かい側の座布団の上に座った。
ルキアが座布団に座ると同時に家臣が2人分のお茶と和菓子を持ち部屋の中へと入ってきて2人の前に置くと部屋の外へと出て行った。
「・・・ルキア・・・どうして、雪だるまを作っていたのだ?」
「・・・何となく・・・雪が積もっていたので作りたいと思ったからです・・・」
ルキアがそう言うと姉妹そろって同じ事を言うとわな・・・と思いながら白哉はフッと笑った。
「・・・緋真と同じだな・・・」
「姉様もですか?」
「ああ・・・緋真もルキアのように雪が積もった次の日に外へ出て、雪だるまを作っていたのだ」
白哉は普段あまりしないぐらいの穏やかな表情をして優しく言った。
「そうなのですか・・・」
白哉から緋真の話を聞いたルキアは姉様の事を1つ聞けた・・・と思い嬉しくなって笑顔で笑い始めた。
「・・・何が可笑しいのだ・・・?」
突然嬉しそうに笑ったルキアを見て白哉はどうしたのだと思いながら笑っているルキアを不思議そうに見ていた。
「なんでもありません、ただ・・・私と姉様に似たようなところがあったことが嬉しいのです」
緋真のことをあまり聞かされていないルキアにとっては姉と自分の似ているところや違うところを知りたいとずっと思っていた。
どうして笑っていたのか理由を知った白哉は少し驚いた表情をして穏やかな表情になりフッと笑いながらスッと立ち上がった。
「私はそろそろ隊舎へ行ってくる」
「はい・・・いってらっしゃいませ、兄様・・・」
白哉はそのまま部屋の戸を開けて廊下に出ていき廊下を歩いて行った。
残ったルキアはもう少したら私も隊舎へ行こうと思いながら少し冷めたお茶を飲んだのであった。
end