通じ合った思い




「おーい、ルキ・・・ん?」


ルキアの分の夕食が乗ったトレイを下から持ってきた一護は部屋で夕食が来るのを待っているルキアを呼ぼうとすると、ルキアは押入れの方を向いて横になったまますーすーと寝息をたてて一護のベットの上で眠っていた。


「こんな所で寝ているんじゃねーよ・・・」


一護はテーブルの上に夕食の乗ったトレイを置いてベットに寝ているルキアを見てあきれていた。
いつもいばっている彼女の寝顔を見ると可愛く思えた。
寝息をたてて寝ている彼女を見ているとちょっとしたことで壊れそうなガラスみたいで壊れないように守ってあげたいと思った。
彼女の足を見ると紺色のハイソックスから白い包帯が少しだけ見えていた。
昨日の虚との戦いの最中に虚の攻撃が足にあたって怪我をしてしまった。
一護の部屋に戻り自らの鬼道で治そうとしたが一護の怪我を治したから力がなくなってしまい、しかたがなく一護が1階の病室から持ってきた包帯を足に巻き、昨日の夜からずっと巻いたままだった。


「わりぃな・・・俺がもう少し強ければこんなことにはなられねぇのにな・・・」


一護はルキアの頭を優しく撫でた。
彼女の頭を撫でると彼女の髪の毛がさらっと動いた。
彼女の足に目をとおして彼女の足に巻きついている包帯を見ると痛々しく思えた。


「ルキア・・・俺・・・お前の事が・・・・・」
「お前の事が・・・何だ?」
「うわ!」


一護は寝ていたはずのルキアいきなり起きてとても驚いて床に尻餅ついた。
ルキアは体を起こして床に尻餅をついている一護を見下ろしていた。


「ル、ルキア!てめーいつから起きていやがった!」
「貴様が部屋に入って来たときからだぞ」


ルキアはあっさりと答えていると一護は手で赤い顔を隠していた。


「つまり、最初っから起きていたのかよ・・・」


一護はあきれてあの後の事を言わなくてよかったと心の中で安心しながら立ち上がった。


「一護、私にお前の事が・・・っと言っていたがその後、何て言おうとしたのだ?」


一護がさっき言いかけた言葉がルキアにとって気になって仕方がなかった。
一護はルキアに言おうとした言葉を思い出すと恥ずかしくて絶対に言いたくないっと思った。


「な、なんでもねぇよ!」
「いいから答えろ!お前の事が、なんなのだ!」
「もう、いい!」


一護は後ろに向いて自分の机に向かおうとしながらルキアに聞こえないように呟いた。


「・・・好きだなんて言えるかよ・・・」


そう呟きながら一護は机に座って鞄から今日の宿題の教科書とノートを机の上において勉強をしようとした。
そんな一護の様子を見ているルキアは下を向いてベットの上で座っていると急に顔を上げた。


「一護!」


名前を急に呼ばれて一護がルキアの方を振り向くとすでにルキアは一護の傍にいて一護の耳元でそっと呟いた。


「私もだぞ」
「えっ?」


一護は驚いた表情をしながらルキアを見るとルキアの顔が少し赤くなって下を向いていた。
一護はもしかしてっと思いルキアに今の事を聞こうとしたら・・・。

ピピピピピッ

指令が鳴ってしまった。
ルキアはポケットから携帯を取り出してさっきの赤くなった顔は何処に行ったのか真剣な眼差しで一護を見上げた。


「一護!虚だ、行くぞ!」


ルキアはブローブをはめて一護の体を押すと一護の体から死覇装を着た一護が出てきた。
ルキアは一護が死神化したのを見ると携帯を持ったまま部屋の窓を開けて窓の外に出て道路の上に着地した。
一護もルキアの後を追って部屋を出て道路の上に着地した。
ルキアは地面を着地すると携帯の画面をもう一度見て虚の居場所を確認して虚がいる方へと走って行った。
一護はルキアが走るとその後を追って走った。
走りながら一護はルキアにさっき聞こうとした事を聞いてみた。


「おい!今言葉の意味はなんだよ!」
「い、言わぬ!貴様がさっきの言葉のあとを教えたら教えてやる!」


ルキアの背中を見ているだけだったが声を聞くと何かを隠すような感じだった。
一護はルキアの反応を見てルキアが言った言葉の意味を聞かなくてもわかった気がして心の底から嬉しかった。


「おう」


一護は嬉しそうに答えるとルキアは気付かれないようにクスっと笑ったのであった。

 



end





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