一護はまだ・・・母親のことで、苦しんでいるのだろうか・・・
雨の日の事
―深夜11時。
一護はベッドの上に座り、外を見ていた。外は雨が降っていて、部屋はいつもより暗かった。一護は外を見ながら今日のことを思った。
―おふくろを殺したのは虚だった・・・だけど、俺のせいで死んだのには変わりはない・・・
一護は俯いた。雨の音が、あの日の雨の音と、同じように聞こえるので、とても嫌だった。
「くっ・・・」
一護はまたあの日のことを、悔やみだした。そしたら、静かに押し入れの戸が開いた。
一護は驚いて押し入れを見た。
押し入れの中にルキアがいた。ルキアは押入れの中から、じっと一護を見ていた。
「・・・ルキア・・・」
「眠れないのか?」
「ああ・・・お前こそ眠れないのか?」
「まあな・・・そっちに行っても・・・いいか?」
一護は少し驚いた。ルキアがそんなことを言うと思わなかったからだ。ルキアは真剣そうな顔で一護を見てくる。
「別にかまわないけど・・・」
一護はそういうと、また窓の外を見た。ルキアは押し入れから降りてベッドの上に座った。しばらく沈黙が続いた。一護は外を見ていて、ルキアは俯いていた。少し経った時一護はふと思い、ルキアに聞いた。
「・・・なぁ、あの虚・・・どうなったんだろうな・・・」
「・・・わからぬ、しかし生きているの確かだと思う・・・」
「そうか・・・」
そう言い終わると、また沈黙が続いた。雨の音が五月蝿いぐらいによく聞こえた。一護は複雑な気持ちでいた。そしたら、急にルキアはベッドの上に乗って一護に近づき、一護の頭を撫でた。一護はびっくりした顔でルキアを見た。ルキアは優しそうな顔だった。
「あまり悔やむな・・・貴様の母親の仇は取れなかったが、多分・・・貴様の母親は仇を取らなくてもよいと、思っていると思うぞ・・・」
「・・・ルキア・・・」
「それに・・・もしあそこで貴様が死んだら、貴様の母親は悲しんだと思うぞ・・・母親だけではない・・・貴様の家族や友達も、きっと・・・悲しんだと思うぞ・・・」
ルキアの言葉を聞いて、一護は思った。
ルキアの言うとおりだ、もし俺がおふくろの仇を取るため虚と戦い、そのせいで俺が死んだら、花梨や柚子は今まで以上に悲しむだろうし、親父やあいつらも悲しむだろうな・・・
一護はそう思い、少し俯いた。
「悪かったな・・・」
一護はルキアに謝った。ルキアはふっと苦笑したら一護に近づき、一護を抱きしめた。一護は驚いたが何も言わず、じっとした。ルキアは一護の頭をなでながら喋り始めた。
「いや・・・貴様が生きていてくれただけで十分だ・・・」
ルキアはそう言うと、一護を解放した。一護の顔は、少し赤面になっていたのを見てルキアはくすっと笑った。笑いながらルキアは外を見た。
「雨・・・止んだようだな・・・」
一護も外を見た。雲と雲の間から月が出ていて綺麗だった。
「そうだな・・・」
月明りが部屋を照らし、さっきより部屋は明るくなった。
「そろそろ、寝るとするか」
そういうとルキアはベットから下りて、押入れに向かった。押入れの戸を静かに開けて、ルキアは一護を見た。
「おやすみ、一護・・・」
ルキアは押し入れの見て入ろうとしたら、「・・・ルキア!」と、一護がルキアの名前を呼んだ。
「なんだ?」
ルキアは振り向いて不思議そうに一護を見た。
「その・・・ありがとうな・・・」
一護は照れくさそうに言った。ルキアは少し微笑んで、押入れの中に入り戸を閉めた。一護は外見ながらさっき、ルキアに抱きしめられたことを思いながら考えた。
・・・ルキアが俺を抱きしめるのは以外だったな・・・だがルキアのおかげで気持ちが少し、楽になったな・・・。
一護は苦笑した。一護は心の中でルキアにいっぱい感謝しながら布団に潜り、深い眠りについた。
end