恋の鐘

 





一護は家に帰って遊子達に「部屋で勉強してくる」っと言って階段を上がり自分の部屋の扉を開けた。


「遅かったな」


扉を開けるとベットの上で雑誌を熱心に読んでいたルキアが顔を上げた。


「まぁな」


短い会話を終わらせると一護は自分の机の上に鞄を置いて中から教科書やノートを取り出して、ルキアはたつき達に借りた雑誌をまた真剣な表情をしながら熱心に見ていた。しばらく部屋の中に書く音とページをめくる音しか聞こえなくなった。一護が熱心に勉強をしていると隣で本を閉じる音がした。


「一護、今週の日曜日は暇か」
「はぁ?!」


机に向かって勉強をしていた一護は大きな声を出して驚いていた。ルキアは驚いている一護をどうなのかっと顔で言いながらじっと見てきた。


「なんだよ急に・・・」
「暇かと聞いているのだ」


ルキアは真剣な眼差しで一護を見つめてきて日曜日は暇かどうか言わなければいけない立場になってしまった。


「まぁ・・・暇だけど・・・」
「江の島につれてってはくれぬか」
「はぁ?!お前、ここから江の島までどのぐらいあると思っているんだよ・・・」
「知らぬ、とにかくつれていけ」
「ダメだ」
「なぜなのだ!」


ルキアは一護がどうして江の島に連れてってくれないのわからず少し怒った表情で一護を見ていた。


「ここから江の島まで結構な距離もあるし、虚だってどうすんだよ」
「そんなもの浦原に頼めばよかろう」


ルキアがストレートに言葉をかえすと一護はそれでいいのかっと思いながら言葉につまり黙った。


「・・・ダメなのか・・・?」


ルキアは今にも泣きそうな表情をしながら一護をじっと見た。そんなルキアを見て一護はルキアに負けた。


「わぁったよ、連れてってやる」
「本当か!?」
「ああ」


ルキアは一護が江の島に連れていってくれることがとても嬉しく満天の笑顔をしてとてもはしゃいでいた。


「日曜日、楽しみにしておるぞ」


おやすみっと言いながらルキアは嬉しそうに押入れの中に入っていった。


「ったく、なんで急に江の島に行きたいっと言い出すんだよ」


江の島に何かあんのか?っと言っている一護だが心のどこかではルキアと2人きりでどこかに行くことが嬉しかった。




日曜日・・・

一護とルキアは駅に向かい切符を買い電車に乗って江の島へと向かって行った。電車を乗っている間ルキアは期待に胸をふくらませながらおとなしく座っていた。


「なんだよ、今日はやけにおとなしいな」
「何をいう、いつまでも私がはしゃいでいると思っていたのか!」
「はいはい、悪うございました」


そんな感じで会話をしながら電車は江ノ島の方へと向かっていった。


「次は終点片瀬江ノ島です」
「着いたぞ」
「うむ」


電車が止まり2人は駅のホームに下りて改札を出て少し歩くと右側の方に島みたいなのが見えてきた。


「あれか?」
「うむ、そうだ」


一護とルキアは島に向かうため知らない道を歩き長い橋を渡って江の島についた。江の島には所々にのら猫がいて昔の街並が並んでいてルキアにとってもは尸魂界みたいで嬉しかった。


「ここは尸魂界みたいで楽しい・・・」
「向こうもこんな感じなのか?」
「あの家とかが尸魂界にある家と似たようなものだ」
「そっか・・・」


ルキアの説明を聞いた一護はもし、俺が死神の力をもらわなければルキアはこんな感じのところに帰っていたのかっと心の中でそう思った。

しばらく歩いていると階段が見えてきて階段に近づいていくと左側の方にはエスカレーター乗り場があった。


「ここを上がるのか?」
「そのようだ」


一護とルキアはエスカレーターに登るため切符を買って長いエスカレーターに乗った。

途中にあった神社などでお参りをしたりしながら一番上まで登った。


「一護、あっちだ!」


エスカレーターをおりてルキアは一番上に登ったのにもかかわらず一護とルキアは階段を下りていった。


「気をつけろよ」


一護は横に並んで一緒に階段を下りているルキアに注意するように言った。


「わかっておる」


ルキアは自分が階段から落ちるわけがないと思いながら階段を下りていった。あともう少しで平らなところになるとルキアは思って気楽に階段を下りていたら階段を踏み外してしまった。


「あっ・・・」


ルキアは前かがみになったまま階段から落ちそうになって目を強くつぶった。しかし、痛みが感じられず誰かに支えられている感じがして目を開けてみるとルキアの隣にいた一護が今にも階段から落ちそうなルキアの体を支えていた。


「・・・ったく」


一護はそう言いながら前かがみになっているルキアの体をゆっくり起こしてルキアから少し離れた。


「すまぬ・・・」


ルキアはまさか自分が階段から落ちそうになるなんておもってもいなかったから顔を少し赤くして恥ずかしそうに助けてくれた一護に謝った。


「今度から気をつけろよ」
「う、うぬ・・・」


2人はまた階段を下りて行った。ルキアは一護に心配かけないように慎重に階段を下りていったのであった。



「一護、こっちだ!」


長い階段を下りた後、一護とルキアは神社みたいなところについてルキアはある場所へと向かう道の前で一護を呼んでいた。一護はルキアの方へ向かおうとしたら途中の店で気になった物を見つけた。


「ルキア、ちょっと待ってろ!」


一護はそう言うとその店に行き何かを買って店を出た。

店の前にはさっきまで違う場所にいたルキアが一護はどうしたのか不思議そうに一護を見ていた。


「何を買ったのだ?」
「これだ・・・」
「これ・・・」


一護が買ってきた袋の中にはピンク色の絵馬だった。ここへ向かう途中の神社にある木々にかけてあったものだ。


「そこに名前を書いてあそこにかけるみたいだぜ」


一護は顔を少し赤くして恥ずかしそうに説明をして書くかってルキアに尋ねるとルキアは嬉しそうな顔をしながら顔を上げた。


「うむ!」




「これでよしっと・・・」


一護とルキアは絵馬に自分達の名前と願いを書いてたくさんの絵馬がぶら下がっているところに自分達の絵馬をかけた。


「それじゃあ行くか?」
「うむ」


ルキアは小走りでさっきいた場所へと走っていき後ろを振り向いて一護に向かって手招きをした。


「こっちだ、一護!」


ルキアは一護に向かって手招きをしたあと坂道を走って行った。

一護は先に行ったルキアに追いつこうとルキアに向かって走って行った。

そしたら、途中にこの先のたて看板が立っていてたて看板には『龍志の鐘』っと書いてあった。


「・・・鐘・・・?」


一護は何でルキアはあの鐘があるところに行きたいんだと思いながら先に走っていたルキアに追いつきルキアと一緒に上まで登った。


「ここは・・・?」


上まで登ると人はいなく真中らへんに長方形の透明の大きなボックスがありその中には人の顔ぐらい鐘があった。


「ここは“恋人の丘”と言う所らしい・・・」
「なぁルキア・・・さっきの看板に“鐘”と書いていたがなんだんだ?」
「あれは“2人の愛を永遠に誓う”という意味で作った物らしい」
「なんでそうなったんだ?」
「昔、この島に龍がいたのだ・・・」


ルキアの話によると昔、ここで五つの頭をもつ悪龍が住んでいて、村の人を苦しめていたそうだ。村の人達は悪龍を鎮めようとしたが悪龍の乱暴はますますひどくなった。だが、ある日突然天地が激しく揺れた後、天女が現れたそうだ。そしたら海には島が現れ、悪龍は天女に一目惚れをして天女に結婚を申し込んで天女はこれからは人々を助ける龍になることを条件に結婚を受け入れた。そして、2人は結ばれて長くこの地域を守っていったそうだ。


「そういう話があったのか・・・」
「うぬ、だからあそこで鐘を鳴らしたカップルは決して別れないといわれているらしい」
「・・・鐘・・・鳴らしてみるか?」
「う、うむ・・・」


一護とルキアは少し恥ずかしそうに鐘の前に立って鐘についている紐を2人で揺らした。
カラーン
音程の高い鐘の音が回りに広がっていった。その鐘の音色は二人を祝福するかのように優しい音だった。


「こ、これで・・・いいのか・・・?」
「う、うぬ・・・」


2人は鐘を鳴らしたせいかさっきより顔が赤くなり恥ずかしさのあまり黙ってしまった。

ここは日当たりがよく今日みたいにとてもきれいな空だと太陽までもが2人を祝福しているようだった。


「・・・か、帰るか・・・?」
「う、うぬ・・・」


2人は自分達のしたことがとても恥ずかしく思いながら黙って駅への帰り道に足を向けて歩き出した。

下へ降りる坂の入り口に近付いたとき一護はある事を決心して立ち止まりながら歩いているルキアに話し掛けようと思った。


「・・・なぁ、ルキア・・・」
「なん・・・」


一護に話し掛けられたルキアが後ろを振り向くと一護はルキアの顔に自分の顔を近づけてと自分の唇とルキアの唇を重ねた。

互いの唇が重なった瞬間2人の時が止まったような気がした。

ルキアは自分の唇と一護の唇が重なったことに気づくと瞳を大きく開いてとても驚いた。

周りにある木々が風に吹かれ2人のようすを見てざわざわと騒いでいるようだった。

しばらくすると一護はゆっくりとルキアの顔から離れていった。

ルキアは一護の思いがけない行動にとても驚き、放心状態になってその場に固まってしまった。


「・・・行こうぜ」


一護はルキアの横を通り、帰り道とつながっている坂道を下り始めた。放心状態のルキアは一護が自分の横を通ると放心状態から解放されて顔の温度がどんどん上がってくるような気がした。


「き、貴様!!誰か見ていたらどうするのだ!!」


ルキアは顔が赤くなりながら後ろを振り向いて坂道を下っていく一護に向かって叫んだ。ルキアが叫ぶと一護は立ち止まり後ろを振り向き平然とした顔でルキアを見上げた。


「ああ?その時はその時だ」


一護がさらりと答えるとルキアは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして手で顔を覆い隠した。


「ルキア、行こうぜ」


一護は顔を手で覆い隠しているルキアに向かって手を差し伸べてきた。

ルキアは差し出された一護の手を手で顔を覆い隠したままじっと見下ろしていた。


「・・・ああ・・・」


ルキアは一護が差し伸べてくれた手をゆっくりと取って坂道を下り始めた。

ルキアが一護の手を取ると、一護はルキアの手を離さないように強く握りルキアと手を繋いだまま坂道を下って帰り道を歩いていった。



「・・・一護・・・」


帰り道の途中、ルキアは歩きながら一護に話し掛けた。一護はなんだ?と言いながらルキアを見下ろすとルキアは顔を上げてニコッと笑った。


「また・・・行こうな・・・」


ルキアの笑顔は一護にとってとても穏やかで優しく見ているだけで幸せを感じでルキアの笑顔を見た一護はつられて笑った。


「ああ・・・」


一護はそう言うとルキアの手をさっきより強く握り締めた。


2人は今日の日を記念日とした。
何故なら・・・2人の恋が終わることなく永遠に続くような気がしたから・・・。



end


 

[戻る]