A snowfall
朝の日差しがカーテンの向こうから部屋の中へと射してきた。
冬の朝はとても寒く、まだ寝ている人達は布団の中に潜ったりして体を冷えないように温めようとしていた。
そんな中、ルキアはまだ起きる時間でもないのに突然目が覚めてしまい静かに押し入れ戸を開けた。
戸を開けて音を立てないように床の上に着地するといつもと比べて寒い感じがした。
それもそうだ、今日は昨日から降っていた雪の所為でいつもと比べてとても寒かったからだ。
寒い・・・とルキアはそう思いながら前にある窓を見た。
窓は白く曇っていて外の景色が見えずらかった。
・・・外の様子はどうなっているのだろう・・・。
ルキアはふと思い一護を起こさないようにベットの上に乗って静かにカーテンを横に引いた。
カーテンを引くと白く眩しい光が目覚めたばかりのルキアを照らしてきた。
その光が眩しすぎてルキアはしばらくの間目を閉じて少しずつ光になれようと薄っすらと目を開けようとした。
目が慣れて再び外を見ると外は辺り一面が真っ白な雪景色でルキアはその景色を見てわぁっと小さい声で言いながら驚いた。
「どうしたんだ?」
ルキアが外の景色を見ていると傍で寝ていた一護が眠い目をこすりながら体を起こした。
「一護、雪がつもっておるぞ!」
一護が起きたことに気付いたルキアは後ろを振り返り嬉しそうな表情をしながら笑っていた。
そんなにすげーのか・・・?と、一護は不思議に思いながらルキアの後ろからその景色を見てみた。
「・・・スゲー・・・こんなに積もったのは初めて見たぜ・・・」
雪をよく見る一護でも今回はいつもと比べよく積もっていたのでとても驚いた様子で外に積もっている雪を見つめていた。
「一護、外に出てみないか?」
ルキアは子供のように目を輝かせながら一護を見上げた。
「いいぜ」
一護とルキアは寒がりながらもすぐさま私服に着替えてコートを着ると外へと出て行った。
雪は10cm以上積もっており、ルキアはまだ誰も踏んでいない綺麗な雪を踏んでその感触を楽しんでいた。
「本当にすげぇ・・・」
外に出てあらためて一護は家々に積もってある雪を見つめた。
家々に積もった雪は太陽の光によってきらきらと宝石のように光っていた。
「うわ!」
突然一護に向かって雪玉が飛んできて一護の顔に当たり一護は雪を振りはらおうと顔を左右に振った。
すると、前の方からハハハッとルキアの笑い声が聞こえてきて一護は不機嫌そうな表情をしながらルキアを見た。
「何、笑ってんだよ」
「本当に・・・ハハッ当たるとは・・・ハハッ思っても・・・ハハッいなかったのだ・・・」
「ってめ!」
怒った一護は素早くしゃがみこみ雪をかき集めて雪玉を作りルキアに向かって雪玉を投げた。
ルキアは素早くよけて地面にしゃがみこみ雪玉を作ると一護に向かって投げた。
「今度は当たらねーぞ!」
一護はルキアにそう宣言しながら雪玉を避けて塀の上の雪を取って雪玉を作ってルキアに向かって投げた。
・・・こんな感じで2人はその後、たくさんの雪玉を投げたりその雪玉を避けたりしていた。
10分ぐらいだろうか、投げたり避けたりしていると2人とも疲れたのかハァハァと息が荒くなっていた。
「も、もう・・・終わりにしようぜ・・・」
「そ、そうだな・・・」
雪玉の投げ合いを止めた2人は体を休めようと雪の上に腰を下ろしたりした。
「つ、疲れた・・・」
一護は冷たい雪の上に座り込んで下を向きながら体を休めていた。
ルキアも雪の上に座り込み上を見上げながら体を休めていた。
上を見上げていると家々の雪が目に映りルキアは周りの家々や塀の上、道路の上に積もっている雪を見回した。
「しかし・・・雪はとても綺麗だな・・・・」
ルキアが見回しながら言うと一護はルキアが見ているところと同じ方を向いて白く光る雪を見た。
「そうだな・・・」
ルキアは再び立ち上がりまだ誰も踏んでいないところでまた1回転をしたり飛び跳ねたりして雪の感触を楽しみ始めた。
その様子を見ている一護はルキアが雪の上を舞っている鶴のように見えて綺麗だな・・・と思いながら雪の感触を楽しんでいるルキアを見つめていた。
しばらくの間ルキアが1回転をしたり飛び跳ねたりして遊んでいると一護は急に立ち上がりルキアの腕をつかんだ。
腕をつかまれたルキアは驚き飛び跳ねたりするのを止めて一護を見上げた。
「ど、どうしたのだ・・・?」
ルキアが驚きながら一護に聞くと一護はハッと意識を取り戻したような顔をした。
「あ、いや・・・お前が・・・雪にまぎれて消えるかと思ったから・・・」
一護が少し恥ずかしそうに答えるとルキアは目を丸くしてクスクスと笑いだした。
「私は貴様の前から消えたりしないぞ」
「そうだよな・・・」
一護はルキアの言葉を聞いてホッとした気持ちになった。
すると、空から白く小さな雪がひらひらと舞い降りてきて、一護とルキアは空を見上げてそれを見ると嬉しそうな表情をした。
「雪だ・・・」
白い雪はひらひらと空から舞い降りてきて一護とルキアの服や髪にそっとのり、踏み荒らされた雪に覆い被さるかのように舞い降りた。
「そろそろ部屋に戻ろうぜ」
「そうだな・・・」
雪が降ってきたので一護とルキアは暖かい部屋の中へと入って行きココアなどを飲んで冷えきった体を温めながら楽しく会話をした。
今日の出来事は2人の新しい出来事として2人の記憶の奥底へ大切にしまわれた。
降り出した雪はその後も空座町に降り続いたのであった。
end